さくらサイエンスプラン(中国人高校教師来日研修)実施報告

当協会は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が科学技術の学びを通して日本とアジアの若者同士の交流を深めることを目的として行っている「さくらサイエンスプラン」を活用して、東南アジア諸国や中国からの学生の来日研修を行っています。

 

今回も2019年11月25日(月)から11月29日(金)までの5日間、中国から15名(高校教師13名、引率者2名)を受け入れました。

今回来日した研修生は実際に授業を持つ高校の先生ということで、製鉄所や発電施設の現場を見学したり、日本の大学で留学や就職について説明を受けたりしながら、日本の科学技術や企業・学校などについて理解を深めました。

 

今回、送り出し機関となってくれたのは、北京にある「中日青年交流中心」という団体です。当協会とも長く交流関係にあり、こうして来日研修を実施できたことは彼らも非常に嬉しく思ってくれていました。

さくらサイエンスプラン(中国)概要
実施期間

2019年11月25日(月)~29日(金) 5日間

対象者

中国人高校教師(男性7名、女性6名)、引率者(男性1名、女性1名)

合計15名

現地協力機関

中日青年交流中心(北京)

内容

科学技術に関わる展示館や研究施設の見学・講義、日本の大学の見学・留学生との交流、日本文化や生活の体験など

2019年11月25日(月)1日目

 

【羽田空港へ到着】

 

この日の東京は小雨。

肌寒い気候ではありましたが、北京の方がずっと寒いから大丈夫、と皆さん元気に日本へ到着されました。 

 

 

 

【日本科学未来館】

 

東京・台場にある日本科学未来館を見学しました。

 

科学を高校生にどのように教えれば良いか、日頃から悩んでいる先生たちにとって、子供たちでも見て触れて科学を体験できる未来館の展示方法は非常に参考になったようでした。

 

 

2019年11月26日(火)2日目

 

【鹿島製鉄所見学】

 

日本製鉄(株)鹿島製鉄所を訪問し、実際に工場を見学しました。

中国語の会社紹介ビデオを見た後は、製鉄技術について説明を受けました。

 

製鉄事業だけでなく、持続可能で環境にも優しいエネルギー再利用システムにも力を入れている同社の取り組みに驚いていました。

 

 

 

防護服に着替えて、実際に工場を見学しました。

今回見せていただいたのは、最高温度が約1,200℃にもなる厚板を製造する工程です。

 

工場内にほとんど人はおらず、操作室から管理をしているということに驚いていました。

 

従業員の安全を第一に考えて作られた鹿島製鉄所の挨拶「ご安全に!」で記念撮影。

 

 

 

 

【太陽光発電設備を見学】

 

茨城県稲敷郡美浦村にある、JRE(株)(ジャパン・リニューアブル・エナジー)の太陽光発電設備を見学しました。

 

発電、送電、蓄電などのシステムについて理解を深め、滅多に見られない大型の発電設備を熱心に見ていました。

 

 

  

「曇りでも発電はできるんですか?」

 

「中国ではあまり見たことがなかったので驚いた」 

 

など、再生可能エネルギーについて関心が高まりました。

 

 

 

 

【江戸東京博物館見学】

 

科学技術だけでなく日本文化にも触れてほしいと、両国にある江戸東京博物館を見学しました。

 

同博物館では、江戸時代を中心に当時の日本文化や伝統を学ぶことができ、日本の文化に親しみを感じていただけたようでした。

 

 

 

【夕食はちゃんこ料理!】

 

夕食は日本食、ちゃんこ料理を味わいました。

 

土俵があるこのレストランでは、相撲についても理解を深めてくれました。

 

 

2019年11月27日(水)3日目

 

【東京経済大学見学】

 

国分寺市にある東京経済大学を訪問し、同校の留学・就職支援制度について説明を受け、構内を見学しました。

 

中国語の看板に迎えられて、とても喜んでいました。

 

 

 

中国から日本へ留学生として同校で勉強し、卒業後は国際交流課で中国人職員として働く職員の方から、日本への留学について、日本の生活、就職支援制度などについて詳しく説明を受けました。

 

「将来、高校の生徒たちを日本に留学させたい」と、日本への留学に大いに関心を持っていただけました。

 

 

 

図書館、食堂、国際交流センターなどを見学させていただき、日本の大学の施設がとても充実していることにとても驚いていました。

 

 

 

昼食は学食を体験しました。

 

券売機でチケットを買ってカウンターへ持って行って注文します。

食べ終わったらきちんと食器別に返却するというシステムにも驚いていました。 

 

 

 

【NICT見学】

 

小金井市にある国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の本部を見学しました。

 

情報通信に関する日本唯一の公的機関です。

 

 

 

同機構では日本標準時を決定していて、そのシステムについての説明を受けました。

 

 

 

 また、情報通信技術として音声翻訳アプリVoiceTraを開発しています。

研修生たちは中国語から日本語に翻訳する体験をし、その正確な翻訳に驚いていました。 

 

 

2019年11月28日(木)4日目

 

【日鉄エンジニアリング訪問】

 

品川区の日鉄エンジニアリング(株)本社を訪問し、同社の事業や高校生への体験プログラムについて講義いただきました。

 

 

 

研修2日目に訪問した日本製鉄(株)グループということもあり、実際に鹿島製鉄所で見て学んだことを思い出しながら熱心に事業説明に耳を傾けていました。

 

特に、同社が高校生たちを対象に行う体験プログラムなどについて、「中国でも学生に対して科学をもっと身近に感じてもらえるような仕組みがあるべきだ」という感想がありました。

 

 

 

中国人職員の方ともお話ができ、同社の製鉄技術やエンジニアリング技術について理解を深めました。

 

 

 

【修了式】

 

4泊5日の研修の最終日を前に、今回参加した15名全員に当協会の隈丸理事より修了書が手渡されました。

 

 

 

「最初はあまり日本について良い印象を持っていなかった部分もあったが、実際に日本に来てみて日本に対する考えが変わった」

 

「中国も日本も近くて文化も似ている部分があるので、これからも国同士、人同士が交流を続けていくべきだと思った」

 

「是非日本を留学対象国として、帰国後は学校で検討していきたい」

 

 などの感想があり、招へいした我々としても非常に嬉しく思いました。

 

 

2019年11月29日(金)5日目

 

【浅草寺を見学】

 

帰国前に浅草に立ち寄り、浅草寺を見学しました。

 

日本に来た思い出に、家族にお土産を買って空港へ向かいました。

 

 

 

【北京へ出発】

 

15名全員、元気に羽田空港から北京へ向けて出発しました。

 

それぞれの学校に戻って、日本での経験を活かしていってほしいと願います。