日本ユースリーダー協会内部に設置した選考委員会による選考と、外部有識者で構成された審査委員会*による厳正なる審査を経て、このほど第14回若者力大賞の受賞者が決定しましたのでお知らせします。
*審査委員(敬称略)
審査委員長 永野 毅 (東京海上ホールディングス株式会社 取締役会長・当協会会長)
審査委員 中村 公一 (山九株式会社 代表取締役会長・当協会副会長)
審査委員 山中 祥弘 (学校法人メイ・ウシヤマ学園 理事長)
審査委員 橋本久美子 (橋本龍太郎元首相 令夫人)
審査委員 高桑 早生 (パラアスリート・第7回若者力大賞 ユースリーダー賞受賞者)
表彰式は、2023年2月20日(月)午後6時半より、六本木ヒルズのハリウッドプラザ「ハリウッドホール」にて開催します。
ご参加の申し込みは、こちらより承ります。
代表理事 菊永ふみ、1985年生まれ
■菊永さんは、幼い時から視覚言語と音声言語の両方の世界を行き来してきたので、ろう者と聴者がどうやったらお互いに対等な関係で関わっていけるかというテーマを持っていた。
■ある日、謎解きゲームの公演に参加し、感銘を受け、勤務していたろうの子ども達の施設で手話と音声、それぞれを絡めた「謎解きゲーム」を作り、交流会を催した。これは、ろうの子ども達と施設の活動を支援している一般企業の聴者の社員が同じ人数でチームを作って、協力して謎解きに挑戦するもの。これが非常に面白いと評判になり、「異言語脱出ゲーム」として広がっていった。
■2018年4月に異言語Lab.を立ち上げた。異言語Lab.では、異言語脱出ゲームの他、異言語コミュニケーションをテーマにしたボードゲームや、企業向けのワークショッププログラムなどを提供している。
■異言語脱出ゲームでは、手話で直接目を見て伝え合い、「通じた!」という喜びを持ち帰ってもらうことを意図している。
■今まで、16作品を北海道から沖縄まで公演してきた。地方で公演する時には、その地域のろう者たちと繋がり、一緒に公演をすることを大切にしている。これまで数多くのろう者が手話への偏見やろう者に対する差別の中を必死に生き抜いてきた。子どもたちが手話に夢中になって分かろうとする姿に、高齢のろう者は「筆談やアプリではなく、手話で話せる未来が見えてきた」という感想を抱く。
■異言語Lab.として伝えたいのは、目で生きる人たち(ろう者)の世界があること、異なることは良いこと、ありのままの自分で生きていけることが大切であること。聴者の間にも、異なることはある。異なる人たちが一対一で向き合って、お互いに自分らしく生きていける社会を作りたい。
1988年生まれ
株式会社aba 代表取締役兼CEO
■中学生の時に祖母が病気になった。その時、祖母に何をしてあげればよいかわからず辛かった。この経験より介護者の負担の大きさを痛感する。これが、介護者側の負担を減らしたいという思いに繋がっている。
■介護施設を訪問した初日に、介護職さんが2人がかりで高齢者に腹圧をかけながら排泄を促している場面に出会って衝撃を受けた。「これは本人が望んでいる介護なのか」と介護職さんに聞くと「自宅で便失禁しないように排泄をしてから帰してほしいと家族から頼まれている。私たちは家族のケアも含めて考えなくてはならないから。けれど本人が望んでいるかと聞かれると、わからない」と答えた。自分が家族介護者だった時にもどかしさを感じた「わからない」というあの感覚を、介護のプロである介護職さんも感じていた。そして「わからない」と言わせてしまい責めてしまった。これが一生の後悔である。なので彼ら彼女らの「わからない」を減らし、よいケアができるテクノロジー=ケアテックを作りたいと決心し、千葉工業大学在学中の2011年に株式会社abaを立ち上げた。
■「介護は本来楽しいもの」であるという信念を持っている。介護職さんや家族介護者は、業務に追われて余裕がない、また何をすれば要介護者のためになるのかが「わからない」ために、介護を楽しむことができていないと考えている。
■施設介護で大きな比重を占める排泄介護では、おむつの確認作業の20%〜30%は空振りであり、確認後すぐ排泄があった場合には、次の交換までに時間がかかり床ずれなどのトラブルが生じてしまう。
■開発したHelppad(ヘルプパッド)は、介護者が「おむつを開けずに便があるか知りたい」という、おむつの中が「わからない」を解消するにおいセンサーが組み込まれたシートで、排泄時のにおいセンサーのパターンをクラウド上のアルゴリズムで判定する。アラームが鳴ったら尿便があるという、空振りやおむつの外への尿便漏れを最小限に止める効果がある。
■介護は人が人を支える素晴らしい技術である。それを体現した現場のためのケアテック製品を社会実装して、誰もが介護したくなる社会を実現したい。
1991年生まれ
株式会社Pale Blue 共同創業者兼代表取締役
■父親の影響を受けて、「宇宙」に関わりたい思いで、東京大学工学部航空宇宙工学科に進んだ。
■始めは火薬を使ったエンジンの基礎研究をした。衛星に搭載する高圧ガスを使ったエンジンの開発にもかかわり、打上げ前の安全審査を経験し、今後衛星が小型化し打上げ数が増える中で、厳しい審査を毎回通すのは不可能だと感じた。また、高圧ガスを使ったまま更なる小型化をすることに限界を感じた。博士課程に入って、安全な水を推進剤に使ったエンジンの研究を開始した。
■水エンジンの研究は以前からあったが、推進性能が今一つであり、小型衛星の需要も当時は少なかったので実用化に至らなかった。指導を仰いだ小泉宏之准教授(はやぶさ1のイオンエンジンの運用、カプセル回収プロジェクトに従事)の10年以上の研究成果を水に応用し、実験や試行錯誤を積み重ねて、目指した性能や小型化を達成することができた。小型衛星の需要が増えているこのタイミングで、自分の達成した成果を社会実装しようと2020年に起業した。
■水エンジンを使うことで、投入軌道が限られる、軌道変更ができない、運用期間が短い、運用後に宇宙ゴミになるといった、今までの小型衛星の欠点をカバーし、小型衛星コンステレーションビジネスの市場の拡大に貢献できる。
■もう一つの思いは、国の研究費の枠を超えた「研究開発ー実用化ー収益化ー新たな研究開発や人材育成のサイクル」を実現することにある。株式会社Pale Blueはそのロールモデルになりたい。
■好きなことが見つからない若者には、勇気をもって何かに手を出してみる、足を運んでみるといったアクションを是非起こしてもらいたい。そこから好きなことが見つかる可能性がある。怖がらずに是非一歩を踏み出してほしい。
■人々の可能性を拡げ発展し続けるためには、自動車、飛行機、スマートフォンなどの技術革新が欠かせない。本質的な技術革新にかかわって、人類の可能性を拡げ続けたい。
1991年生まれ
認定NPO法人Homedoor 理事長
■中学2年の時、電車通学の車窓からホームレスの人々が炊き出しに並ぶ姿を目にして、「豊かなはずの日本で何故」という疑問が頭の中に湧き出し、炊き出し活動に参加し始めた。
■活動の中で一人の「おっちゃん」の「働く場所が欲しい」という希望を聞いて職探しに奮闘したが、住所不定、携帯なしの人に仕事は見つからず、翌月会いに行くとおっちゃんは既に亡くなっていた。「路上でどこの誰かも知られずに亡くなる人がいるのは嫌だ」と強く思った。
■19歳の時にHomedoorを設立。人生の転落防止柵の機能をはたしたいという思いと、誰もが帰ることのできる居場所の入り口としての役割になる願いを込めた名前だった。
■Homedoorでは、「ホームレス状態から脱出できる選択肢を作る」という目的で「(情報やリソースを)届ける」「選択肢を広げる」「暮らしを支える」「働くを支える」「再出発に寄り添う」「伝える」という「6つのチャレンジ」を事業としている。相談に来た人がゆっくり休息できるアンドセンター(個室の宿泊施設)や、無料で温かい食事を提供するおかえりキッチン、そして当事者の能力を活かした働き場所としてシェアサイクル「ハブチャリ」を自主事業として運営している。
■コロナで若い人も相談に来る例が多くなった。虐待やひとり親家庭など生育環境に恵まれなかった人もいる。他にも、病気やうつ病があり、一旦生活保護を利用して病気をちゃんと治療してから仕事を探そう、という働きかけになる場合もある。
■活動は学校の先生にも友達にも周囲の人にも理解されなかったが、彼女としては自分の生活の一部となっており、取り組み続けることは自然な普通のことだった。悪循環の現状を「こうすれば好循環に変わるかも」というスイッチを見つけられた瞬間があり、それをやってみようという感じで続けてきた。
■Homedoorの包括的活動はモデルケースになりうると考えている。自分達の経験をもとに政策提言を通して、全国的に効果的なサポート体制が広がれば良いと考えている。
1987年生まれ
株式会社MIRAIing(ミライング) 代表取締役社長
■親がベトナムやスリランカ等に連れて行ってくれた時に、同年代の子供に物乞いをされてショックを受けた。「自分がもしその国に生まれ変わったとしても、チャンスを持てるようにしたい」と思った。
■アメリカの高校に留学して経験したディスカッションやプレゼン、ビジネス等を学ぶ実践的な教育や、JICA職員としてエジプト駐在した経験から、「実際に物事を前に進め、変化や事業、インパクトを作り出す人を育てたい」という思いにつながった。
■コロナの感染拡大で、学習機会を奪われている子どもたちが増えていたこともあり、中学高校大学生向けに、自分自身の留学時やJICAでの経験も踏まえて、ロールモデルになる講師からリーダーシップ、デザイン思考、プレゼン術等をテーマに講義をしてもらいつつ、チームで課題設定して新しい事業アイデアや戦略を考えるオンラインでのPBL(プロジェクトベーズドラーニング)の「TOPPA‼」プログラムを2020年11月に開始した。2021年2月に法人化して、個人向けや学校向けに提供している。
■TOPPA!!の特徴は、アイデアを早く出し、仮説検証してブラッシュアップすること。途中でアイデアをガラッと変えるチームも出てくる。最後には企業家や投資家にプレゼンする。事業創出やプロジェクト進行に必要な考え方や、将来のリーダーとしての活躍に生きるマインドセットの形成もプログラムに入れている。
■企業とコラボレーションを始めるチームも出てくる。AIを活用して途上国でも斜視の検査を実現する提案をした当時中学3年生は、エンジニアを探してきて実際にプロダクトを作ろうとしている。期待を越えてアクションに至っている、そういうリーダーが現れることが心を動かされる体験だ。
■リーダー不足が叫ばれる今、イニシアティブを取って起業したり、組織の中でもチャレンジしていく人が増えてほしい。
第14回若者力大賞表彰式 | |
日 時 | 2023年(令和5年)2月20日(月)18:30~20:00 |
会 場 | 六本木ヒルズ、ハリウッドプラザ5階 「ハリウッドホール」 及び YouTubeライブ配信 |
参加費 | 無料 |
定 員 | 200名(リアル会場) |
主 催 | 公益財団法人日本ユースリーダー協会 |
協 力 | 学校法人メイ・ウシヤマ学園 ハリウッド大学院大学 |