<若者力大賞受賞者インタビューvol.4>:秋本 可愛さん(第10回若者力大賞・若者力大賞受賞)

プロフィール

 

19901222日生まれ、28歳。

株式会社Join for Kaigo代表取締役。

 

大学2年生の春に起業サークルFor Success

プロジェクトチームsep-arrangeを結成。

認知症予防に繋がるフリーペーパー「孫心(まごころ)」を制作するにあたり実際の現場を知りたいと感じ介護現場でアルバイトを始める。

 

介護領域の問題に課題意識を感じ、20134月大学卒業後に株式会社Join for Kaigoを設立。

現在は超高齢社会を創造的に生きる次世代リーダーのコミュニティ「KAIGO LEADERS」を運営。

行政主体の介護人材確保イベントの企画や介護事業所の採用・育成支援を行うなど、

業界からの注目度も高い。

 

KAIGO LEADERS http://heisei-kaigo-leaders.com/

 

 

起業サークルの先輩が原点。現場で感じた介護領域の本当の問題

 

 元々大学生になって最初に入ったサークルは、楽しいこと何でもやろうというオールラウンドサークルでした。オールラウンドサークルは楽しかったのですが、2年生になるころ、このまま何も成長せずに4年間が終わってしまうのではないかと不安を抱き始めました。

 

 そんな時たまたま知った起業サークルの説明会に参加しました。そこで将来について生き生きと話す人たちを目の当たりにし、この人たちと一緒にいたら私も成長できるかもしれないと思い、

起業サークルに入りました。

 起業サークルは最初にチームを組み、実際に事業を行いながら学ぶという実践ベースのサークルです。

同じチームになった先輩のおばあちゃんが認知症で、自分のことを忘れられてしまったという原体験を持っていたので、そこからなにかできないかと考えたことが私の介護との関わりのはじまりです。

 

 チームで認知症の人とコミュニケーションツールとしてのフリーペーパーをつくることになり、わからないなりにいろいろな行動を起こしてみました。しかし認知症についてあまり知らず、このフリーペーパーが効果的なものか分からなかったので、大学3年生から介護のアルバイトを始めました。

 すると問題と捉えるものが変わりました。最初は認知症になることや認知症の状態を問題視していましたが、アルバイトを始めて認知症の人たちの過ごす環境が気になってきたのです。

 

 認知症は、問題のように聞こえるかもしれませんが、現在65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症で、

認知症になるのは当たり前と言っても過言ではないかもしれません。

 そのため、それよりも認知症の方が虐待を受けている可能性があること、介護士として働いている人が心や体を壊してやめてしまうこと、家族の人が仕事と介護の両立に悩んでしまうことなど、介護環境の問題に目が行くようになりました。

 

 

今をどう生きるかを人一倍考えていた。

周りが介護に興味を持たないからこその気づき

 

 現場で様々な課題を目の当たりにする中で、自分ができることはフリーペーパーをつくることではないと感じ始めました。複雑な課題に溢れる中で、どうすれば全ての問題が解決できるのだろうと漠然と考えるようになり、そんな中問題意識を持ったのは周囲の意欲的で優秀な学生が全く介護に興味がないことです。

 

 私はそんな尊敬できる学生と繋がっていましたが、みんな全く介護に興味がないのです。

この優秀な人たちがどうしたらこの日本の大きな問題に目を向けてくれるのだろうと考えるようになりました。

そして、そこに気づくことができたのは、介護に興味のある人が周りにいない私だからなのではという使命感を抱くようになりました。

 

 また、今をどう生きるかということを人一倍考えていたことも就職しなかった理由のひとつです。私がまだ幼いころに、いとこが20歳でがんのため亡くなりました。そのことは、命が有限であるということを20歳前後にとても意識させてくれました。

 

そんな中、目の前にある介護の問題を他人事にできなかったのです。

 

無知の生み出す発想が必要。既存の延長線上に未来を描けない現状

 

 若い人たちの可能性は経験がないことや、無知であることだと思います。ずっと同じことをしているとそれが当たり前になってしまい、おかしいことに気づけないですし、知識とか経験があればあるほど「これはこうでしょ」と思ってしまいます。

 だからこそ無知の状態の若い人が新しい発想で考えるということが介護の領域では特に必要だと思います。なぜなら既存の延長線上には未来を描けてないということが日本の社会の現状だからです。

 

 2025年に団塊の世代の人たちが75歳を迎えます。75歳以上になると2割の人が介護を必要と言われ、このままだと人材がおよそ37万人足りません。さらに多死社会と呼ばれる多くの人がなくなる社会を迎えた中、看取り難民と呼ばれ最期を迎える場所がない人たちも増えています。

 亡くなる人口がピークを迎える2040年には現状のままでは約49万人の亡くなる場所がないという現状があると統計上で出ています。

 

 これから課題がより深刻化する中で、若い人たちのエネルギーや新しい感覚や発想の変化はすごく大事だと思っています。

 

 

介護が必要になっても、ひとが幸せに暮らせる社会をつくりたい

 

 カリスマリーダーを育てていくというよりは一人ひとりがリーダーシップを発揮できる環境を広げていきたいです。現場にいる人、介護領域の人、家族でも学生でも、いろいろな立場の人たちが少しでも自分事として介護を捉え、リーダーシップを発揮できるかがこの先重要になると考えています。そんな社会づくりができたらもっと幸せなことや、ここまで深刻化しなくても済む問題があったのではないかと思っているからです。

 

 具体的な行動として、KAIGO LEADERSでは2020年までに全国8都市の支部を展開していくことを目標としています。全国に支部ができていくということは全国の様々な情報と人たちの想いが集まる場所になると思うので、オンラインでどのように全国の意欲的な人たちとつないでいくかを考えているところです。

 

 大きなところだと、介護が必要になったり、関わることになったりしたとしても、人が幸せに暮らせる社会をつくりたいと思っています。医療の発達している現代において、健康寿命と寿命との差は確実に出てきますから、年を取れば多くの人に介護が必要になります。ものすごく大きなことですから、私が生きている間に実現できるかどうかもわからないですが、そこはずっと追求しながら自分たちができることを考えていきたいです。

 

 

 

大切なひとのすごく大切なことだから。介護を自分事

 

 介護って人と人との関係性の間にあるものなので、難しく考えず、まずは身近な家族と、介護が必要になったらどうしたいか話してみることが大切だと思います。この家でずっと暮らしたいのか、誰と一緒にいたいのか、亡くなる寸前の延命治療はどうしたいのか。

 

 それは変わっていくものですし、今はわからないことかもしれません。認知症になるとわからなくなることもどんどん出てくるので、本心を聞ける間から話しておくことが大切なのではないかと思います。生き死に関わる話はタブー視され、話し辛いことのように感じますが、大切な人のすごく大切なことだから、本当はもっと自然に当たり前にできる社会だったらいいなと思います。

 

 

さて、来たる2019年2月19日(火)の第10回若者力大賞では、表彰式にて秋本可愛さんご本人の受賞スピーチもございますし、交流会にもご参加いただける予定です。ぜひ、若者力大賞にご参加ください。 

「第10回若者力大賞」表彰式&交流会の詳細と参加申込はこちらからお願いいたします。